迷子の日記。行ったり来たり。

本当に本当に本人以外にはどうでもいいようなことをつらつらと書き連ねています。このブログにはアフィリエイト広告を使っています。

母の家計簿

誰に似たのか 私は三日坊主で

何をやっても続きません

 

母は 父と結婚してから

今日までずっと

一日も欠かさず

家計簿をつけているというのに

 

この間 不意に母から連絡があり

家計簿を処分すると言います

明日の ごみに出すのだと言います

 

母は家計簿を

一冊も欠かすことなく

きれいに

本棚の一番下に

並べておりました

 

子供の頃から知っておりましたが

一度も 盗み見たことはありません

母の聖域は

侵してはならないと

子供心にも理解しておりましたので

 

それを

母は

捨てると申します

 

一度 受話器を置いて

どきどきする胸を押さえて

それから 母に電話をしました

 

お母さんの家計簿を

私に くださいませんか

 

母は

場所を取るわよ

と言いました

 

構わないので ください

と お願いしましたら

じゃあ

残しておくわ

と言いました

 

ああ、神様

こんなことを 思うと

私に 

罰をお与えになりますか

 

私は、

罰が当たっても平気です

ですから 一度

私と取引しませんか

 

私は、たった一つ

欲しいものがありまして

それが

母の家計簿だったのです

 

母が父と結婚してから

今日まで

一日も欠かさずつけていた

家計簿です 

 

母は

旅行がしたいと言っておりまして

北海道か

沖縄か

どちらかに行きたいと 言っておりまして

 

私は

もう少し お金に余裕ができたらね

心の中で思いながら

黙って聞いておりました

 

それが

家計簿を処分すると言うものですから

 

何にも待ってはくれないのです

私のことなど

何にも待ってくれないのです

 

この間

首里城が焼けてしまいました

 

母を 沖縄に連れていく前に

首里城が なくなってしまいました

 

ああ、神様

母の

家計簿が止まらないうちに

私を

助けてはくれませんか

 

私は三日坊主を返上し

一生働き続けますから