初回投稿日:2020-01-28
秋になるとなぜかミステリー小説が読みたくなります。
とりとめのないことばかり考えてしまうときも、気分転換にはミステリーがちょうど良い。
怖ければ怖いほど、「早く終わりが知りたい」と脇目も振らず集中できるので、気持ちを切り替えるのに向いていると思うのです。
読む前までは。
我孫子武丸さんは何かのアンソロジー*1で短編を読んだことがあったきりですが、ふと思い出して、タイトルも見ないで手にしたのが本書でした。
小説は平成4年(1992年)に発表されています。
タイトルは、キルケゴールの「死に至る病」からとっているようです。
ミステリー小説やホラー小説には二種類あります。
ひとつは、荒唐無稽で現実的でないもの。もう一つは、実際の事件をベースにしていて、リアリティのあるもの。
『殺戮にいたる病』は後者。実際にあった事件を基に描かれています。
もう少し明かすと・・・小説には、1988(昭和63)年から翌89(平成1)年に発生した埼玉連続幼女誘拐殺人事件が出てきます。
埼玉連続幼女誘拐殺人事件自体が小説になっているわけではありません。
当時、新聞やニュースによく取り上げられ社会問題にもなっていた「猟奇殺人」がモチーフなのです。
決して気持ちの良い作品ではありません。
グロテスクで恐ろしい。
グロテスクというと、私が真っ先に思い出すのは桐野夏生さんですが、桐野夏生さんの描く独特の世界とは違って、我孫子武丸さんの描く世界は現実的です。
◆◆◆
「モチーフはああだ」とか「意外に現実的」などとわかった風に思いながら読んでいたら、途中からモヤモヤし始めました。
なぜかって?
・・・数が合わないからです😱
秋の夜は長い、と思っていらっしゃる方は、一度トライしてみてはいかがでしょう。
あなたは数が合いますか?😢
ちなみにキルケゴールの「死に至る病」は後にこう続きます…
絶望である。
【過去記事】
i-am-an-easy-going.hatenablog.com
i-am-an-easy-going.hatenablog.com
*1:ここでは、異なる作者による作品集を指します。