初回投稿日:2020/05/24 最終更新日:2023/09/27
今日の目次
本をいただく
以前勤めていた会社は個人経営の小さな会社でいろいろと問題があったのですが、退社するときに社長のお母様からたくさん本をいただきました。
終活ということで、いま、ご自宅の整理をなさっているそうで、たまたま、本の話で盛り上がったことがきっかけで「じゃあ、私の本をもらってくださらない?」と、たくさんの蔵書の中から、一部、譲ってくださったのです。
(一部、というのは、私が会社を辞めてしまうからで・・・本当は、全部とおっしゃってくださっていたのですが、仕方ないですね。)
母に火が点いた!?
物心ついてから、母が読書をしているところを見た記憶がありません。ずっと子育てや家事に追われていたからでしょう。
そんな母が、最近「見たいテレビもないし、気が付くとうとうとしている」というので「本、読んでみない?」と勧めてみました。
これまでも、絵手紙やペン習字など何度かチャレンジしていたのですが、どうも続かない。
折角、自分の時間ができたというのに、もったいない。
寂しいことだなあ、と思っていたのです。
今度はどうかしら?と思いながら、いただいた本を順番に母に渡します。
「この本はすごいわ!」ネタバレ含め本の話が止まりません。
飽きるどころか、リビングで朝から晩まで本を開くようになっていました。
母の読書リスト
約束の海
山崎豊子さんの未完の遺作です。社長のお母様は、大学の後輩だそうで「どうしても読まなきゃと思ったのよ」と教えてくださいました。
母曰く「最初は(海難事故にまつわる船の描写等)難しくて、読み切れるかと思ったけれど、なんとか読み切ったわ」と読後達成感の大きかった一冊のようです。
閉鎖病棟
帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)さんの小説です。
「閉鎖病棟」とは、精神科病棟のことで、物語は、そこで起こった殺人事件について、患者の視点で描かれています。
本作は、1999年と2019年に映画化もされています。
「長島愛生園*1を思い出した」と母は、切ない感想を述べていました。
苦労しながら『約束の海』を読んだ後だったからか、「物語の構成がシンプルで非常に読みやすかった」とあっという間に読了です。
永遠の仔
天童荒太さんの作品です。2000年にはテレビドラマにもなったそうで、ご存知の方も多いかもしれませんね。
母曰く「3巻までは、気持ち悪くて読みづらかった。話の構成も、過去に行ったり、現在になったり、あっちこっちしてわけが分からない。4巻からは、”ああ、こんな子供たちもいるのか”と思って、あっという間に読めた」ということでした。
「”あとがき”で、たくさんの人にインタビューしたとあったから、創作でなくて、現実にもあるのかと思うとぞっとした」らしいです。
私は、天童荒太さんの作品はまだ読んだことがありませんが、湊かなえさんの作品で、時系列を複雑にした書き方の小説を何作か読んだことがあります。
・・・確かに読みづらい。今風に言うと、物語の最後に「あちこちに散りばめられた伏線の回収」によって、点と点を線につなげる達成感を読者に味合わせるテクニックなのでしょう。
すごい勢いで完読したのに驚いています。
海賊と呼ばれた男
すっかり読書家になった母がのめりこむように読んでいたのが、百田尚樹さんの『海賊と呼ばれた男』です。
2016年、岡田准一さん主演で映画も公開されたのでご存知の方も多いかもしれません。
時代は、第二次世界大戦の戦中戦後。
母は、朝から晩まで、少しの時間も惜しむかのようにページをめくっていました。
初めてみる母の姿でした。
食事中も話題は小説のことばかり。
母は、主人公の国岡鐵造に恋をしてしまったようです。
まとめ
約1か月の間に、母は9冊もの本を読み上げてしまいました。
これから私は少しずつ読んで行こうと思っていますが、今まで一度も見たことのない、読書をする母の姿は、娘が言うのもなんですが、なかなか良いものです。
夢中になって小説の中のことをあれやこれや話す母を見ながら、こういう時間を持つことができたことを幸せだなあ、としみじみ感じています。
母との暮らしは始まったばかりですが、幸せな時間を少しずつ積み上げていきたいなと思います。