迷子の日記。行ったり来たり。

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【おすすめ映画】『ユリゴコロ』と吉高由里子さん

初回投稿日:2020-08-08

 

ユリゴコロ』は吉高由里子さん主演の映画で、原作は、沼田まほかるさんのミステリー小説です。

吉高由里子さん演じる主人公はシリアルキラー。幼少期より特異な感覚を持ち、殺人を繰り返します。

決して気持ちの良い作品ではありませんが「ああ、これが吉高由里子だ」と思わせる、彼女の魅力が存分に出ています。
蛇にピアス』もそうですが、吉高由里子さんは、喜怒哀楽に区別しきれない混沌を表現するのがとても上手い女優さんなのだとあらためて感じました。

本当に個人的な感想ですが、吉高由里子さんには鉄砲ユリのイメージがあります。
とても美しい、白い雰囲気だけれども、カサブランカの奢るような、胸を張った純白ではなく、オフ白。
少し黄味がかった鉄砲百合の白い花は、ほんのわずか野性味を帯びていて、群生していても孤独。一本の茎からいくつもの花が咲くけれど、どれもが顔を合わせないようにそっぽを向いています。
うつむき加減な佇まい。どこか厭世的で諦観、達観した雰囲気とでもいいましょうか。
テレビドラマで見る彼女は、美しいけれど何か物足りない。映画を観ていて、足りないものがこの雰囲気なのだと思いました。

彼女(が演じる主人公)の雰囲気を「透明感」と呼ぶのなら、彼女の透明感は、やるせなさを通り越して、何にも期待しない人だけがもつものです。
ユリゴコロ』では、彼女の透明感が十分に生かされていました。

映画では、彼女の恋人(のちに夫)を松山ケンイチさんが演じています。
私にとって松山ケンイチさんは、映画『デスノート』のエル役のイメージが強すぎて、他の役のイメージがなかなかしっくりこなかった役者さんです。

ユリゴコロ』の松山さんは慈悲深い。彼は、彼女に人間らしい感情を教えます。
暗い過去を引きずりながら、彼女を深い愛情で包んでいく演技は、映画を単なる猟奇的なものでない、奥深いものにしています。

ひとつ残念に感じた点は、主人公の中学生時代を清原果耶さんが演じていらっしゃったことです。清原果耶さんが残念というわけではありません。ただ、(吉高由里子さんが演じる)主人公の独特の雰囲気は、主人公が幼いころから持っていたはずのものであるのに、映画では人格がプツリと分断されてしまうような隔たりを感じてしまったのです。
多分、中学生時代を吉高さんが演じても違和感がない、きっとその方が自然だったのではないかしら、と思っているのです。

原作のある映画は、先に原作を読むか映画を観るかで、後に触れる作品(映画か原作)の印象が変わってしまうことがあります。良くも悪くも、先入観ができてしまうため、純粋に作品を味わえないことが多いのです。

ユリゴコロ』の映画は、原作に忠実ながらも、原作を侵食したりはしません。
作品に触れるのが映画が先でも、原作が先でも、どちらも楽しめる秀作だと思います。

 

 

是非読んでいただきたい原作は、先に読んでも、後から読んでも。

 

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