迷子の日記。行ったり来たり。

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女ともだち

初回投稿日:2020/09/12 最終更新日:2023/08/29

                                <a href="https://www.photo-ac.com/profile/43626">acworks</a>さんによる<a href="https://www.photo-ac.com/">写真AC</a>からの写真

彼女とは、アルバイト先で知り合いました。

勤務していたころはシフトも重ならず、彼女の放つ非常に強い「わたしはわたし」という独特な雰囲気が、私に距離を置かせていました。

 

それが、アルバイトを辞めて、次の就職先に勤めていたころ、帰りに寄ったスーパーで彼女と偶然再会し、何となく、連絡先を交換したのがきっかけで、親しくするようになったのです。

 

昔はモテただろうなあと思わせる外見の彼女は、想像を裏切らない。

 

「私ね、今まで女ともだちっていなかったのよ。だから、同性と約束して食事をするのなんて、ワクワクして前の晩から眠れないくらい」

そんな風に言う彼女は、思い出したように食事の誘いのLINEを入れてくる。

 

お酒好きの彼女は夜に会いたがるけれど、今のご時世、私はかなり躊躇します。

「ランチなら」と返すのですが、会えば必ず、昼間からワインを頼む。

 

「ねえ。お母さんとは上手くいってるの?」

質問はいつも直球。

 

「いつも、ご機嫌をうかがっているようなところがあるわ。台所は絶対渡さないし、今までの生活を変えたくないって、私が持って帰った食器の置き場さえないしねぇ」

 

「ふふ。やっぱりね。そんなものよ」

どこか楽し気にワインを口に運ぶ。

 

「ところで、新しいところはどうよ」

「・・・それがねえ・・・」

溜息まじりに現状を話す。

 

「それって、洗脳系?」

ぐびぐびと、あっという間にグラスを空けて

「すみませーん。これと同じもの」

 

そんな彼女に、知らぬ間に

「またねえ、失敗したかも。わ・た・し」

大きくため息をついてみた。

 

はああああああああああ。

 

「やっぱり、メルカドバッグは白がいいわねえ」

うらやましそうに私のバッグを眺める。

 

そもそも、私のバッグをほめちぎり、詳しく教えたら全く同じものを買おうとする。

いや、オソロはないでしょ。いいオトナが。

 

結局、白のバッグが売り切れだったらしく、しぶしぶ紺をゲットして、ほぼ毎回、私と会うときに持ってくる。

そして、ほぼ毎回言うのだ。

「あああああ。やっぱり白よね。白がオシャレだわ」

 

そんな彼女に話したことが、今の私のほぼ全てだったりする。

 

明け透けにものを言う彼女に赤裸々に話す。

絶妙なタイミングで連絡をくれる彼女は、いつの間にか、私の大切なシェルターになったのです。

 

 

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