午後8時30分。寝ている母を起こして「お風呂入る?」と訊くと「入る」と言います。
「でも、いつもより早いわね」と言うので、「いつもと一緒よ」と答えると、
「ああ、まゆに言っておかなきゃいけないことがあるのよ」と言うので、
「なに?」と訊くと、「2階にいるかしら?」と言います。
「え? 2階には誰もいないわよ」と答えると、母は私をじっと見つめます。
不安になって「私は誰かわかる?」と訊くと、母は首を傾げてから、すまなそうに
「ごめんなさいねえ、いつも一番お世話になっているのに……名前がちょっと……お世話になってるのにねえ」と言うのです。
その瞬間、目の前が真っ暗になりました。
◆◆◆
ふと、認知症外来に行った日のことを思い出しました。
この日は、午後から認知症外来で母の認知症の検査を受けました。詳細は先に投稿しています。さまざまな検査で、母も私も疲れ切りました。
母がふと「お母さんは“健忘症”になったの?」と訊いてきたときは、胸が痛みました。
この少し前、「お母さん、ちょっと脳がおかしいのよ」と言ったことがありました。
「ふわふわするの?」その時は眩暈かなにかかと思って聞いたのですが、僅かではあっても、自覚症状はあったのかもしれません。
目薬が差せないから差して、と言ってきたときのこと。
薬が複雑でちゃんと飲む自信がない、と言ってきたときのこと。
その時々で、うろたえ、戸惑いながらなんとかやってきましたが、もう少しきちんと母との時間を残しておけばよかったと思っています。
残したからとて、何が変わるわけではありませんけれど。
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