母の「しあわせ」と、日々の記録
最近、母はよく「しあわせ」と言います。
お風呂に入れば「最高のお湯加減、しあわせ」。背中を流すと「うーん、きもちいい、しあわせ」。
毎日この声を聞くたびに、「よかったねえ」と心から思います。
8月13日:シーツのしあわせ
朝食後、薬を飲んだ母は、いつものように横になります。
そのとき、こんなことを言いました。
「気持ちいい。お母さん、このシーツ大好き。いつ寝てもヒンヤリして。この色、最高。この色を見てるとほっとするの、はあ…しあわせ」
母が横たわるのを手伝いながら、その言葉を聞いて、私もこの瞬間が幸せなのだと感じました。
※このシーツについては、以前レビュー記事を書いています。
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午前10時のコーヒーとチョコレート
10時前後に自力で起きると、お茶の時間です。
母が時計を見るので、「コーヒー淹れようか?」と声をかけると、
「うわぁ、うれしいことを言ってくれるねえ!」
指で丸を作って「グー(Good)!」と見せてくれます。
母がトイレに行っている間に、インスタントコーヒーでカフェオレを作り、電子レンジで温めます。
7月頃から、10時のお茶にはアーモンドチョコレートが定番になりました。
最初は箱入りを買っていましたが、糖分や価格のこともあり、今ではネットスーパーのPB*1商品(1袋個包装で10個入り)を半分ずつ分けて食べています。
「半分こしてね」とチョコレートの袋を渡すと、母は5つずつ分けてくれます。
これも母にとって、大切な“仕事”のひとつです。
食べることは、生きること
最近は、寝起きに朝か昼か夜か分からなくなって、「ご飯を食べそびれた」と言うことが増えました。
でも、食べたメニューを伝えると、思い出します。
「ああ、あれは美味しかったねえ」
つくづく、食べることは生きることだと思います。
子供の頃、テレビのコントで「食べた」「食べてない」とやり取りするのを笑って見ていましたが、母の口から初めて聞いたときは愕然としました。
それでも「今日は〇〇を食べたでしょ?」と伝えると、思い出したときの表情は何とも言えず可愛いのです。
レシピという記録
最近は、ブログを書くのが辛くなると、その日に食べたものをレシピとして残すようになりました。
どれも簡単で手軽なものばかりですが、すべて母が喜んで食べたものです。
ブログに残すことで、いつでも再現できるし、いつでも思い出せる。
4年前、母が初めて入院し、退院後に「免疫力を上げるために」と料理したことも、今では大切な記録です。
写真はたくさん撮っているのに、ブログに載せられたのはほんの一部。
今もレシピを登録するだけで精一杯ですが、撮影だけは続けています。
そう言えば、かつて母はメモ魔でした。
結婚してから欠かさず家計簿に簡単な日記を書いていたのです。
今年3月頃、足先の壊死がひどくなってからは、ほとんど文字を書かなくなりました。
それでもたまに、「今日のご飯が美味しかったから書いておきたい。あれは何だったかしら」と家計簿を開きながら訊いてくると、胸の奥がキュンとなります。
母のしあわせ
昼前に目覚めて「おはよう」と勘違いしたあと、もうお昼だと納得した母が、私の方を見てしみじみと言いました。
「まあねえ、お母さんは本当にしあわせ。
朝起きると朝ごはんがあって、次に起きたらコーヒーが出てきて…。
いつ寝ても最高のシーツで、気持ちよく寝られて。
肌触りが良くて、色も最高でしょ。お母さん、この色を見るたびにほっとするの。癒されるのよお」
本当にうれしそうに教えてくれるのを、私も幸せな気持ちで聞きました。
昼食後、薬を飲んだ母はポーチを探して補聴器の電池を入れ替えています。
「電池まだある?なくなりそうだったら教えてね」と声をかけると、
「大丈夫。まだたくさんあるから」
「なくなる前に教えてね。お店に行ってくるからね」と重ねて言うと、
母は残りの電池のパックをポーチから出して私に見せながら言いました。
「大丈夫。買いに行かなくてもいいわよ。残りのこれがなくなるまでにはお母さん死ぬから」
「へ?」
声になったかどうかも分かりませんでした。
母の頭の中
いつも思うのです。
できることなら、一度でいいから、母の頭の中を覗いてみたい。
*1:プライベートブランド