初回投稿日:2020/09/12 最終更新日:2023/08/29
彼女とは、アルバイト先で知り合いました。
勤務していたころはシフトも重ならず、彼女の放つ非常に強い「わたしはわたし」という独特な雰囲気が、私に距離を置かせていました。
それが、アルバイトを辞めて、次の就職先に勤めていたころ、帰りに寄ったスーパーで彼女と偶然再会し、何となく、連絡先を交換したのがきっかけで、親しくするようになったのです。
昔はモテただろうなあと思わせる外見の彼女は、想像を裏切らない。
「私ね、今まで女ともだちっていなかったのよ。だから、同性と約束して食事をするのなんて、ワクワクして前の晩から眠れないくらい」
そんな風に言う彼女は、思い出したように食事の誘いのLINEを入れてくる。
お酒好きの彼女は夜に会いたがるけれど、今のご時世、私はかなり躊躇します。
「ランチなら」と返すのですが、会えば必ず、昼間からワインを頼む。
「ねえ。お母さんとは上手くいってるの?」
質問はいつも直球。
「いつも、ご機嫌をうかがっているようなところがあるわ。台所は絶対渡さないし、今までの生活を変えたくないって、私が持って帰った食器の置き場さえないしねぇ」
「ふふ。やっぱりね。そんなものよ」
どこか楽し気にワインを口に運ぶ。
「ところで、新しいところはどうよ」
「・・・それがねえ・・・」
溜息まじりに現状を話す。
「それって、洗脳系?」
ぐびぐびと、あっという間にグラスを空けて
「すみませーん。これと同じもの」
そんな彼女に、知らぬ間に
「またねえ、失敗したかも。わ・た・し」
大きくため息をついてみた。
はああああああああああ。
「やっぱり、メルカドバッグは白がいいわねえ」
うらやましそうに私のバッグを眺める。
そもそも、私のバッグをほめちぎり、詳しく教えたら全く同じものを買おうとする。
いや、オソロはないでしょ。いいオトナが。
結局、白のバッグが売り切れだったらしく、しぶしぶ紺をゲットして、ほぼ毎回、私と会うときに持ってくる。
そして、ほぼ毎回言うのだ。
「あああああ。やっぱり白よね。白がオシャレだわ」
そんな彼女に話したことが、今の私のほぼ全てだったりする。
明け透けにものを言う彼女に赤裸々に話す。
絶妙なタイミングで連絡をくれる彼女は、いつの間にか、私の大切なシェルターになったのです。
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