もう11月なのに最高気温が27℃だった日の真っ青な空を撮影した
この日、11月というのに天気予報は夏日になると言っていました。
朝は冷え込み、長袖のシャツにワンピースを重ねてもまだ寒く、ニットのカーディガンを羽織っていたほどです。
10時過ぎには、予報通りジリジリと気温が上がりはじめます。
私は仕舞いかけた夏のアンサンブルに着替え、「寒いのよ」と冬のジャケットを羽織る母がウインドブレーカーに変えるのを待ってから公園へ出かけました。
見あげると、文字どおり「雲一つない」空が広がっています。
あまりにも鮮やかだったので、つい足を止めて写真を撮ってしまいました。
不思議なことに、青一色に見えていたのが、写真にすると白っぽい色が混ざって一色ではありません。
場所を変えて、もう一枚撮影しました。
これも真っ青ではない。
不思議だ。
しばらく、ぼんやりと空を見上げていると、一組の親子がやってきました。
この日はグラウンドゴルフの練習日でなかったらしく、珍しく奥のグラウンドに人はいません。
母親は、片手に子どもを遊ばせるボールを持っていて、もう片方の腕で子供を抱いて、迷わずグラウンドまで歩いていきます。
隅に置かれたベンチに荷物を置くと、先に下した子どもに向けて「はーい」とボールを投げてやります。
まだよちよち歩きでおむつの取れない女の子でしょうか、ボールのところへぽてぽてと歩いていくと、そのままボールを母親のいる方と反対の方向へ蹴りました。
ボールはゆっくりと子どもの斜め前を転がっていきます。
母親は「もう」と言いながらボールを追いかけるのですが、振り返ると女の子はさっきとはまた逆の方向へぽてぽてと歩いている。
ゆったりとした速度で追いかけっこをしているかのような親子を真っ青な空の下、ぼんやりと眺めていました。
しばらくすると中年の男性がやってきました。
彼は、もう一つのベンチに腰掛けてしばらくそこにいました。
やがて親子の方は、子どもがトイレにいきたいらしく、ぐずりだしたので、慌てた様子で母親がその子を抱きかかえて公園の隅のトイレに入ったのですが、見慣れないトイレが怖かったのか、子どもが大泣きをはじめてしまったので、そのままボールを拾って小走りで帰っていきました。
そのあと、近所の保育園の先生らしき人が2人、公園にやってきます。
お昼休憩に来た様子だったので、そろそろ私たちも帰ろうか、と母に言ったところで、男性も帰っていったので、先生らしき2人は向こうのベンチへ腰かけました。
空は相変わらず青くてとてもきれいでした。
高校生のころ美術部に入っていたのですが、先生が「どんなものも一色で表現できるものはない。真っ白に見える壁でも、よく見れば光の加減で、赤や青、黄色や緑、いろんな色が混じり合っているのがわかるはずだ」とおっしゃっていたのを思い出しました。
それでも、どう見ても、この空は一色に見えるんだけどなあ。
もう一度見あげながら思ったのですが、家に帰って写真を見返すと、確かに、思議なくらい鮮やかに白い色が混じっています。
空がこんなにきれいだと、大抵のことはどうでもいいことのような気がしてきます。
すべてのことが、ゆっくりと空に溶けていってしまうような気がするのです。