「公園のぴーちゃんに会いたいわ。どうしているか気になるのよ」
秋の花粉症に苦しみながらようやっと洗濯を干し終えた私に母が言います。
やる気と運動の機会は尊重しなければ。
仕方なしに重い腰を上げました。
「公園のぴーちゃん」とは、名前のわからない枯れ木についた赤い実のことで、鳥の形に似ていたことから名付けました。
見つけたときは本当に愛らしい小鳥の形をしていて、見ようによっては凛々しい姿で細い枯れ枝に立っていたのです。
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ぴーちゃんを見つけたころから季節はすっかり秋らしくなってきたのですが、雨の日が続いてしばらくは公園への散歩を休んでいました。
久しぶりすっきりとしたお天気のこの日、公園訪れると驚愕…いえいえ、神々しく貫禄の増したぴーちゃんの姿があったのです。
再び、雨です。
母が「ぴーちゃん、大丈夫かしら」とソワソワしているのが可笑しい。
ぴーちゃんが愛らしい姿から頭がぱっかり割れた姿へと変貌を遂げていたことは、私にとっても少なからずショックでした。
◆◆◆
今日は晴れたり曇ったりを繰り返すすっきりしない天気で、私は花粉症がひどい。
それでもぴーちゃんの無事を確認せずにはいられませんでした。
公園に着くと、小走りでぴーちゃんの木に駆け寄ったのですが、そこには変わり果てたぴーちゃんの姿が。
なんと、頭だけでなく、カラダも弾けてしまっていたのです。
公園は近所の人たちの憩いの場で、年中多くの人が訪れています。
我が家も真夏以外は良く出かけて、ぼんやり風景を眺めたり、母の体力作りにも役立てている。
春には桜が見事で、ハナミズキやモクレンも華やかです。
それなのに、ひとたび花が散り、葉が飛んでしまえば、なんの木だったか分からなくなるなんて。
ネットで調べても判然としないので、これはもう次の春を待つしかありません。
木にも鳥にも虫にも名前がある。
来年こそは、あなたの名前をきちんと確かめるからね、ぴーちゃん。