迷子の日記。行ったり来たり。

本当に本当に本人以外にはどうでもいいようなことをつらつらと書き連ねています。このブログにはアフィリエイト広告を使っています。

父の死

父が亡くなってから暫くの間
母は毎朝
父のことを呼びながら
泣きながら起きた
子供のように
両手で目をこすりながら
しゃくりあげて
泣きながら起きた
暫くの間
私はそんな母の隣に寝て
母の泣き声で目覚めた
そうして
母が泣いていることには
気づかなかった風にして
そっと起きた

 

道を歩いているとき
ふいに涙が流れてきたときは
戸惑いながら
泣きながら歩いた
周りに気取られないように
止めようとすると
嗚咽になるので
仕方なく
浮かんで消えない
父の死に顔を
ながめながら歩いた

 

時々は
忙しい中
通夜に駆けつけてくれた
あの人のことを考えながら
こっそり泣いた
父のことだけ考えて
泣いているのでないことが
切なくって余計に泣けた
誰にも言えない気持ちに
胸が詰まるときには
もう父には
隠すことができないのだと
白状するような気持で泣いた
母のように泣けないことがつらくって
声を殺して泣いた