2リットルの水が1本52円のスーパー
市街地のマンションで一人暮らしをしていたころのことです。
ある日、いつものように2リットルのお水を2本、近所のスーパーに買いに行きました。
税込みで1本52円で売ってくれるスーパーです。
約4㎏の荷物を持って片道約15分歩くのが、運動不足解消も兼ねての当時の私のルーティンでした。
つい買ってしまって反省するもの
コンビニでもそうですが、プリンとかアイスクリームとか、シュークリームとかお饅頭とか…買い物の最後に、ついカゴの中に入れてしまいます。
「間食は止めようと思っていたのに…」とあとで猛省するのに。
その日はジャムパン。
まったくの出来心です。。。
レジ前でのできごと
支払をしようとレジに並んだときのことでした。
そのスーパーにはレジは2つあるのですが、とても狭いためレジごとに並ぶことはできません。
1列に並んで、空いたレジに順番に進んでいく方式です。
その日はタイミング悪く、一方のレジでは大量に買い物をした人が支払い中にもかかわらず、もう一方が休止中でした。
2リットルの水2本とジャムパンの入ったカゴを下げて辛抱強く待ち続けていたところ、不意に後ろから大きな声が聞こえてきます。
女性?男性?
普段あまり聞きなれない調子に一瞬身構えると、声の主は、ずんずんとあっという間に後ろに来て「おねえちゃん、並んでんねんな?」と言います。
私だ…私が声を掛けられているのだ。
まるで鬼ごっこで鬼に捕まったときのような気分で「はい」と振り返って返事をすると、小柄な年配の女性が立っていました。
しかも彼女は「…くん、早うレジしいや!」と、さらに大きな声で店員さんを呼びつけたのです。
直ちにいつもの店員さんが小走りで奥から出てきてレジに入り、レジを開ける準備を始めました。
なおも彼女は怒鳴るような調子で言います。
「なんしょんねん。おねえちゃんが、水、重いで!」
悪い人ではなさそうです。
「大丈夫です」もう一度振り返ると
「ここん水安いから助かるやろ。うち、こないだまとめて4箱買うた。重たかったわぁ」
独特の話しぶりで、なんと仰っているのか非常に分かりづらいのですが、女性はおかまいなしにしゃべり続けます。
「おねえちゃん、水2本も買うたらこけんで(=転ぶよ)」
そのあといきなり鶯の鳴きまねを始めます。
「ホーホケキョ、ケキョ、ケキョ」
緊張がうそのようにほぐれてきました。
よく見ると、女性の後ろには彼女の服の裾をつまんで小柄な男性が立っていて、彼女がなにか言うたび「へへっ」と小さな声で笑っています。
その後も女性は、さらに近く迫ってきて、無邪気に私に話しかけました。
レジでお金を払いながらだったので、ろくな返事もできず頷くのが精一でしたが、それでも何となく楽しい気分になってきます。
「おねえちゃん、気いつけて帰りや。2本も買うたら重たいで!」
その女性は、最後まで私を気遣ってくれていました。
2本、2本と連呼しながら(^-^;
理想の老後って
「ありがとうございます」と言うと、後ろの男性が笑いながら小さく会釈をしてくださいました。
多分、その女性は少し障害をお持ちなのだと思います。
放っておくとどこに行くのか分からないのかもしれません。
男性は、彼女がどこかに行ってしまわないようにそっと上着の裾を持って、言いたいように、したいようにさせてあげている。
お二人はお店の常連さんのようでした。
年齢は、70歳は過ぎていらっしゃるのでしょうか。
ご夫婦のように見えました。
もしかしたらご兄弟かもしれませんが、どのような関係であれ、寄り添ってくれる人がいるのは羨ましいことだと思いました。
女性は、もしかしたら分かっていらっしゃらないかもしれません。
分かっていてもいなくても、いつも側にいてくれる人があるから、安心していられる。
人生の終盤に、そっと寄り添って日々を過ごす相手がいる。
それは夫婦でなくてもいいと思います。
新しい朝に「おはよう」と言葉を交わす人がいる。
他に何もいらないんじゃないか、そんな気がしてきます。
また、お会いしたいと思いました。
お二人の姿がそのときのわたしには理想の老後に思えたのです。
ジャムパンの中に入っているジャムの量はすごい
気分よく家に帰ると、いつものごとくお腹が空いて、早速、買ってきたジャムパンを食べました。
先日、イチゴジャムを買って帰ったので、ジャムパンに入っているジャムの量を瓶詰のジャムと冷静に見比べました。
大変です!すごい量です。糖分摂りすぎです!次こそ自重します。
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