【本の紹介】『旅と小鳥と金木犀』by石田ゆり子
何となく、そんな気分だったので、3冊まとめて、石田ゆり子さんの本を手に取りました。
身構えることなく、空いた時間にコーヒーを飲むのと同じ感じで開くことができる。
石田ゆり子さんのエッセイの魅力は、そんなところにもあります。
本書は、前回少しだけ紹介(とは言えないかもしれません・・・)した『天然日和』の後に書かれたもので、エッセイに続編はないのかもしれませんが、時間的に続いている内容です。
『天然日和』では、ゆり子さんは、着なくなった膨大な量の服を、初めてフリーマーケットに出店します。
そして『旅と小鳥と金木犀』では、そのフリーマーケット出店後、季節外れで残ってしまったものを、友人知人を招いて自宅で販売したことが書かれています。
知り合いのスタイリストさんが手伝って、大変好評だったそうです。
私は、どんなに高価な洋服でも、大切にしていた洋服でも、顔を知っている人に売ることはできません。
随分以前には、だから、貰ってもらっていました。
それでも、差し上げた後、無理やりに引き取ってもらったことはないだろうか、などと気になったりするので、今は、専ら買取サービスを利用しています。
そんな風に、つい「自分の場合は・・・」なんて考えたりしながら読んでしまうのが、ゆり子さんのエッセイの楽しいところ。
身近なのです。
食器やお料理へのこだわりも。
共感したり、感心したり、うらやましく思ったり。
文章を書くことの難しさは、ブログを書きながら、いつもいつも感じていることですが、ゆり子さんの文章は、『天然日和』から格段に読みやすくなっています。
素晴らしい!と思いました。
1年たっても拙文しか書けないので、人の文章をあれこれ言うのは気が引けますが、『天然日和』のゆり子さんの文章は「~なのだ」の連続です。
それが本書では、文末の重複がなくなり、体言止めや句読点の使い方も上手く、非常にリズミカルになっています。
日記形式で綴られているのも、読みやすさの理由かもしれません。
文字やコトバにこだわる、というより、文字を愛し、コトバを大切にしているというのが伝わってくる、そんな文章。
「いいな」と思います。
『旅と小鳥と金木犀』は、2005年9月に刊行されています。
『天然日和』は2002年8月の発売なので、約3年前の文章なのですね。
【関連記事】
ここに↓、『天然日和』について少しだけ触れています。
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↓ 肩肘を張っていないけれど前向きな文章と写真が印象的です。
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↓ 女優としてのゆり子さんの魅力がたっぷりと味わえるドラマでした。
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↓ 文章を書く時に私が気を付けていることです。いまだに悩ましい・・・。